バリに半年住んでいた時の話 その6

パッ・グスティとガブリーとのレッスンが始まった。

まずは姉弟子のガブリーの時間。

一応自分も教え子にはなったので、ガブリーのレッスンも堂々と前のめりで見学させてもらえるようになった。

 

自分が勉強しようとしていたゴン・クビャールという形式のガムランとは異なり、

リンディックは両手で音を奏でる事が出来る木琴のような楽器だ。

竹で出来ているので竹琴でも言えば良いのだろうか。

 

そう言えば、「木琴」って「琴」というより打楽器なのになんで「木琴」なんでしょう。

今思いついた、不思議。

(ここで調べてみたところ、「琴」にはあの弦楽器の琴の意味と、鍵盤or音板を持つ楽器を指す意味があるそうです。google先生に伺って乱暴にまとめてしまいましたが、違うよ!と思われたらすみません・・・)

 

このリンディックという楽器、2週間しかレッスンを受ける時間は無かったのだが、面白かったのが、曲中に

・左右でオクターブ違いのユニゾンを奏でるパターン

・左右でハーモニーを奏でるパターン

・右手でメロディ、左手で伴奏を奏でるパターン

・左手でメロディ、右手で伴奏を奏でるパターン

がある、という事だ。

 

ちなみにゴン・クビャールは一貫して右手で音を出し、左手で止めるという鳴らし方をする。

それに比べると少ない楽器でたくさんの音が出せるという事だ。

 

リンディックで使われる音階はスレンドロ音階なので、音数は西洋音楽平均律よりも少ないのだがその分音のリズムパターンをミニマルに組み合わせて楽しめる音楽となっている。

 

音数が多いにも関わらず、他のバリガムランと同じように口伝である為、音数が多くて覚えるのが大変かなと思った。

 

しかし、パッ・グスティが教えてくれたのは基礎の曲だった為か、各セクションが短かく繰り返して繋ぐパターンが多かったので、何とか覚えていく事が出来た。

 

初日はとりあえず曲の前半部分、それから曲中に出てくるリズムパターンの習得の為の練習を行った。

 

文章で書くと野暮ったくなってしまうのだが、

右手:ラッファラッラファッラッファラッラファッ/・・・・

と繰り返している間に、

左手:ラッラッラッラッラッラッラッラッラッシッシッドッドッシッシッラッラッミッミッドッドッシッシッラッッラッファッファッミッミッファッファッラ・・・

という具合に、右手で「ラッファラッラファ」という音を鳴らしている時に左手のメロディを奏でるという練習だ。

便宜上ドレミで書いているが、本当はこれは

 

「ネンノネンネノ」

 

で覚えるべきだった。

当時は曲を覚えるのに夢中で、自分にとって当てはめやすいドレミで頭の中で変換して覚えてしまっていたのだが、長い目で見たら「ネンネノ」で覚えた方が良かったな、と思っている。

ガムランに関しては好きなだけに後悔している事も結構たくさんあるのだけれど、これも後悔している事の一つだ。

 

その時聞いた音に近いと思った音を勝手に当てはめていたのだが、本当は楽器毎に調律が違っているので、バリでのレッスンで使ったリンディックは

「ミ ファ# ラ シ ド#」で聞こえていたのに、このブログを書いていて懐かしくなってしまって楽天でポチったリンディックは

「ファ ソ シ ド レ 」

に聞こえるのだ。

 

使われている音律(隣同士の音程の違い方)は大体同じなので、その個体に慣れてしまえば演奏に差し障りはないのだが、歌って覚える時とか他の人と口ずさんで合わせたりする時に不便なんです。

 

ここについては急がば回れだったな、と思います。

もしくは、並行して無理にでも詰め込んでしまえば良かったな。

ブログを書いていることで少し復習にはなっているけれど、最近演奏の機会が減ってしまった事が惜しい。

 

もし民族楽器とか伝統楽器を勉強されている方がいたら、きっと現地の音はそのまま覚えられた方が楽しめるのではないかな、と思います。

 

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リンディック

バリの事を思い出して記事を書いていたところ、懐かしくなって買ってしまったリンディック。

 

本当はムービーをサクッとアップ出来ればもっと楽しめると思うのですがそこも追々勉強していきます。