バリに半年住んでいた時の話 その9

えらい時間が空いてしまった。

 

パッ・グスティについての忘れられないエピソードがいくつかあるので書こうと思う。

あまりほのぼのしていないやつ。

 

パッ・グスティはかなり女の人が好きな類の男の人であった。

おじいちゃんなんだけど、ガブリーの事は好きでよくプライベートな食事も共にしていた。

 

同じ先生で1人がお気に入り、もう1人(自分)がそうでもないと妬みのような気持ちが湧いたりする事もあるが、この件に関して私は全くそのような気持ちにならなかった。

 

日本から一緒に来ていたメンバーのミチは、弟子でもないのにめちゃ気に入られていた。

なので、自分の練習にミチがいるとパッ・グスティの機嫌も良く、よく一緒に来てもらっていた。

 

デワワルンに何故か3人で一緒に行く機会があり、ミチの分をパッ・グスティと私で割り勘させられたり(でも私の方が多めに払った)、ワルンで買った飲み物を何故か私が3人分払った事もある。

 

『外国人が現地の人に伝統音楽を習う場合、よくあることなのかな』

と当時の自分は思っていた。ミチには練習に付き合ってもらっていたし。。。

確かにインドネシアより日本の方が経済的に当時は少し豊かだったのもあり、金銭感覚がかなり異なる場面に遭遇して色々と価値観がぶっ壊されていたところではあったのだが。

 

ミチは好奇心旺盛なタイプだったので色々な事を面白がってついてきてくれたが、ちょっと危ない目に合わせてしまったことがある。

 

ガブリーがある日、『パッ・グスティはマッサージが上手い。神通力がある。2人も受けてみないか』と誘って来た。

 

みんなで行くのかと思いきや、1人ずつ部屋に入って受けるのだと言う。

何故なら、神通力は特別だから。

 

流石にちょっと嫌だな、と思ったが断るのも悪いのかなと思い我々は受けることにした。

ガブリーも何度か受けたと言っていたし。

 

部屋に入って驚いた。

下着姿になってうつ伏せになり、薄暗い部屋でおじいちゃんにひたすらマッサージをされるのだ。

神通力は全く感じなかった。

バリに来てから酷くなっていたヘルニアは治ったが、それは彼の神通力とは関係がなさそうだった。

 

それ以上おかしなことがあったわけでは特にないが、日本だったら絶対受けない話だよね。

日本で友達に『あの人には神通力があるからマッサージを受けてみろ』って言われたら多分断るだろう。

 

支払いの件にしても、マッサージの件にしても、価値観が色々ぶっ壊される過程で起きた事件だった。我々以外も、現地では大抵おかしなことに巻き込まれた経験をみんな1個は必ず持っている。

 

・日本ではすごくお堅い後輩に突然現地彼氏が出来る

・ひたすら現地の人に貢ぐ日本人の先輩(お金持ちではない)

・現地の人に、芸術の魂を注入するとか言われて初対面でキスを受け入れた男

・何かに取り憑かれて突然泣き笑いが止まらなくなる友達

・画家に絵のモデルになってくれと言われ、突然ヌードになる先輩

・現地彼氏(実は婚約者あり)に弄ばれてお金を取られる友達

・日本ではモテないのに、めちゃくちゃストーキングされた友達

 

みんな、上の話特殊だと思うではないですか。

自分も日本にいて上の話だけ聞いていたら、話してくれた人がおかしいか、話を盛られた、と思ったと思う。

 

でも自分は実際に経験して、見聞きして知っている。

本当の話なんだと。

 

今から海外に留学する方がもしこれを見てくれていたら、声を大にして言いたい。

誰にでも起こり得ます。

何もなかった人を、私は少なくとも1人も知らない。

 

一つ言える事は、何らかの形であなたを利用しようと近づいて来た人とのつながりは大事にする事はない。

 

あと、もしも一瞬でも『ヤバイな』と思ったら、その直感は多分正しいので頑張って立ち止まって、その場を全力で離れて下さい。

 

現地の先生につく場合、支払いが発生したり、しない場合はこちらも心苦しいので厚意で何かをさせてもらう事はあるけど、それってもっと厳かな感じの事だった。少なくとも自分や、自分の周りでは。

 

ちなみにその後もガブリーとはいい友達だったし大好きなまま離れたし、パッ・グスティとも穏便にお別れしました。

 

2人とも元気かなー。